今日は安斎さんのX投稿ネタのご紹介。
いま自身が取り組んでいる社内での組織開発でも「メトリクスをどうするか」という点が課題になっています。
何か解決のヒントが得られるかもしれないと思い、リンク先のnote記事と研究論文も含めて興味深く読ませてもらいました。
組織開発は、ワークショップなど非日常的(ハレ)のアプローチだけでなく、業務やコミュニケーションのなかでコツコツ積み重ねる日常(ケ)のアクションも重要。
— 安斎勇樹 / MIMIGURI (@YukiAnzai) 2024年7月8日
MIMIGURIのリサーチャーの東南さん@yumitonan… pic.twitter.com/dwNvMCe7k9
こちらが研究論文。
「企業内ファシリテーターによるサーベイフィードバック型組織開発行動尺度の開発」
サーベイフィードバック型組織開発とは?
組織調査を用いた組織開発を「サーベイフィードバック型組織開発」と呼ぶ。
「組織の健全性・効果性を高めるために、組織調査を行い、その結果をチームや職場にフィードバックし、対話することを通じて自組織の状況を認識し、改善していくための計画的で協働的な過程」と定義する。
企業内ファシリテーターとは?
現場で行われるサーベイフィードバック型組織開発の企業内の担い手のこと。
特徴は以下の通り。
- 組織の健全性・効果性を高めることを目的とする点
- 組織調査を用いた改善活動を行うこと
- 担い手が役職者に限定されないこと
本論文の課題感
企業内ファシリテーターを育成する上で、上記のような特徴を踏まえ、目指すべき振る舞いを測定することが重要。しかしながら、それを測定する尺度が存在しない。
企業内ファシリテーターが自らのサーベイフィードバック型組織開発行動の品質を向上させていくには、目指すべきサーベイフィードバック型組織開発行動がどのようなものか、明らかになっている必要がある。
本論文の目的・ゴール
企業内ファシリテーターによるサーベイフィードバック型組織開発行動尺度の開発を行う。
本行動尺度が開発されることで、企業内ファシリテーターは本尺度に照らし合わせて、自らの行動を振り返り、改善することが可能になる。
本論文の前提
今回開発された行動尺度は、企業内ファシリテーターによる自己評価に基づくデータを用いている点、留意が必要。
開発された行動尺度
1.相互理解の促進
- チームメンバーに対する傾聴や寄り添いの姿勢、チームメンバー間の理解の促進を促す項目により成り立つ
2.的確な課題設定
- エビデンスに基づき,的確で焦点を絞った課題設定をする項目により成り立つ
3.ボトムアップ型の計画策定支援
- チームのメンバー自ら未来に向けた計画を策定するよう促す項目で成り立つ
4.配慮ある情報伝達
- 単に結果を伝達するのではなく、伝えたいメッセージや主張が伝わるような説明行為により成り立つ
5.話し合い時のプロセスの観察
- 話し合い時の観察に関する項目で成り立つ
- 観察している内容は主にメンバーの感情や、話し合いによる相乗効果が生まれているかどうか等の観点
まとめ
本論文はあくまで「サーベイフィードバック型組織開発」を行っている(と自認する)企業担当者の主観評価により、行動尺度が開発されている。
なるほど、こういう観点を意識して行動しているんだな、という点でとても参考になると思った。
こういう尺度があることを知っていると、企業内ファシリテーターの育成に向けたフィードバックもやりやすくなりそう。
ただ、自分が問題意識としてもっていた「メトリクス」の視点とは違っていた、ということがわかった。