50代ITエンジニアの積み上げ日記

50代からの学び直しブログ

組織開発に関する論文を初めてじっくり読んでみた。

今日は安斎さんのX投稿ネタのご紹介。

いま自身が取り組んでいる社内での組織開発でも「メトリクスをどうするか」という点が課題になっています。

何か解決のヒントが得られるかもしれないと思い、リンク先のnote記事と研究論文も含めて興味深く読ませてもらいました。

 

 

こちらが研究論文。

企業内ファシリテーターによるサーベイフィードバック型組織開発行動尺度の開発

 

サーベイフィードバック型組織開発とは?

組織調査を用いた組織開発を「サーベイフィードバック型組織開発」と呼ぶ。

「組織の健全性・効果性を高めるために、組織調査を行い、その結果をチームや職場にフィードバックし、対話することを通じて自組織の状況を認識し、改善していくための計画的で協働的な過程」と定義する。

 

企業内ファシリテーターとは?

現場で行われるサーベイフィードバック型組織開発の企業内の担い手のこと。

特徴は以下の通り。

  1. 組織の健全性・効果性を高めることを目的とする点
  2. 組織調査を用いた改善活動を行うこと
  3. 担い手が役職者に限定されないこと

 

本論文の課題感

企業内ファシリテーターを育成する上で、上記のような特徴を踏まえ、目指すべき振る舞いを測定することが重要。しかしながら、それを測定する尺度が存在しない。

 

企業内ファシリテーターが自らのサーベイフィードバック型組織開発行動の品質を向上させていくには、目指すべきサーベイフィードバック型組織開発行動がどのようなものか、明らかになっている必要がある。

 

本論文の目的・ゴール

企業内ファシリテーターによるサーベイフィードバック型組織開発行動尺度の開発を行う。

本行動尺度が開発されることで、企業内ファシリテーターは本尺度に照らし合わせて、自らの行動を振り返り、改善することが可能になる。

 

本論文の前提

今回開発された行動尺度は、企業内ファシリテーターによる自己評価に基づくデータを用いている点、留意が必要。

 

開発された行動尺度

 

1.相互理解の促進

  • チームメンバーに対する傾聴や寄り添いの姿勢、チームメンバー間の理解の促進を促す項目により成り立つ

2.的確な課題設定

  • エビデンスに基づき,的確で焦点を絞った課題設定をする項目により成り立つ

3.ボトムアップ型の計画策定支援

  • チームのメンバー自ら未来に向けた計画を策定するよう促す項目で成り立つ

4.配慮ある情報伝達

  • 単に結果を伝達するのではなく、伝えたいメッセージや主張が伝わるような説明行為により成り立つ

5.話し合い時のプロセスの観察

  • 話し合い時の観察に関する項目で成り立つ
  • 観察している内容は主にメンバーの感情や、話し合いによる相乗効果が生まれているかどうか等の観点

 

まとめ

本論文はあくまで「サーベイフィードバック型組織開発」を行っている(と自認する)企業担当者の主観評価により、行動尺度が開発されている。

なるほど、こういう観点を意識して行動しているんだな、という点でとても参考になると思った。

こういう尺度があることを知っていると、企業内ファシリテーターの育成に向けたフィードバックもやりやすくなりそう。

 

ただ、自分が問題意識としてもっていた「メトリクス」の視点とは違っていた、ということがわかった。