「独学の地図」で紹介されていて、興味を持った本。
うちの奥さんがアート鑑賞大好き人間なので、よく一緒に美術館に行くことはあるんですが、鑑賞の楽しみ方がよくわからないでいました。
なんとなく「こういう風に鑑賞しなければならない」と正解を求める意識があったんだなぁと、この本を読んで気づかせてもらいました。
著者はプロローグで次のように訴えています。
「美術」はいま「大人が最優先で学び直すべき科目」である
「13歳からのアート思考」というタイトルをつけていながら、決して13歳の子どもだけを対象にしていない、というのが本書の奥深さでもあります。
このメッセージは本を読み進めるにつれ、実感しました。
早稲田MBA Essentialsの「クリティカルシンキング」の講義で、「先入観を持たない」ために前提を疑うとか、私をゼロにするとか、そんな話がありました。
でも、それって実際にはなかなか難しい、という現実も感じました。
頭でわかっていても、、、ってやつです。
話を「13歳からのアート思考」に戻します。
著者は「おわりに」で次の文章を残しています。
「花職人」がひしめく日常生活のなかで「自分なりのものの見方・考え方」がぼやけてしまっている人にとって、アートはとてもすぐれた刺激剤になります。
アートが投げかけてくる問いには、何とおりもの答えが可能ですから、「自分なりの考え方」を取り戻したい人にはうってつけなのです。
「花職人」という言葉は「アーティスト」との対比で著者が定義したものです。
花職人とは、他人から与えられたゴールに向かって課題解決をしている人。
他方、アーティストは、自分の好奇心や内発的な関心からスタートして価値を創出している人。
次の「アートという植物」の図がとてもわかりやすいです。
自分が50代にして興味のタネ、探究の根を伸ばしはじめたのも、「このまま仕事をしていていいのか?」「何か違うんじゃないか」という思いが原点にあります。
年齢云々関係なく、諦めるにはまだ早い、やれるだけのことはやろう、と思い立ち、気づいたら2年半も探究の旅を続けてこれました。
独自の花を咲かせられるよう、これからも楽しんで探究を続けていきたいと思っています。
最後に
何度も読み返して味わい直したい、そんな本でした。
あまりにも感動したので、著者のことが気になり、いろいろ調べたりしました。
そんな中で出会った著者のロングインタビュー記事を貼っておきます。
中学校の美術教師を辞め、非常勤講師として働きながら、大学院に進学。
そこで仲間との出会いから本書執筆につながる気づきを得られたと書かれています。
自分もちょうど大学院進学について悩んでいることもあり、大いに刺激を受けました。