50代アプリエンジニアの積み上げ日記

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【読書メモ】他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論(7)

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論

前回に引き続き、今回は第6章の内容に触れていきたいと思います。

前回はこちらからどうぞ。↓↓↓

 

gajumarusdgs.hatenablog.com

 

 

本書の目次は以下の通りとなっています。

 

【目次】

第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている

第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス

第3章 実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む

第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む

第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む

第6章 対話を阻む5つの罠

第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの

 

第6章 対話を阻む5つの罠

 

ナラティヴの溝に橋を架ける(新たな関係性を築く)ために対話する、ということを学んできたわけですが、この対話も万能ではない、落とし穴がある、ということが書かれているのが本章です。

 

では、どんな落とし穴があるのか?

 

①気づくと迎合になっている

②相手への押しつけになっている

③相手となれ合いになる

④他の集団から孤立する

⑤結果が出ずに徒労感に支配される

 

順を追ってポイントを見ていきたいと思います。

 

対話の罠①気づくと迎合になっている

この罠は、相手のナラティヴに迎合(ないし忖度)しすぎてしまうことです。

つまり、相手の気持ちを推し量りすぎると、相手におもねてしまい、自分が気づいた課題意識や問題点を相手に伝えきれない(伝えることを諦めてしまう)結果を招くおそれがあります。

 

何のために対話するのか。

何を守るために、何を大切にしていくために、対話に挑むのか。

 

ちょっとお堅い抽象的な話にはなってしまいますが、自分でこの問いに向き合い、理想を掲げて、誇り高く歩むことが大事になります。

 

対話の罠②相手への押しつけになっている

この罠は、権力を持っているがゆえに陥りがちな罠です。

第4章、第5章でも触れた内容と被ってきますが、権力を持つ側の自身のナラティヴを一度脇に置き、「私とあなた」の関係性づくりが重要になります。

 

対話の罠③相手となれ合いになる

この罠は、いわゆる「なーなーの関係性」です。

これまで築いた関係性を維持したい、という思いが強すぎて、言いたい・言うべきことが言えない、という状態ですね。

 

もし、何かおかしい、向き合うべき問題に向き合えていないことに気づいた際は、違和感を伝える必要があります。何も行動を起こさなければ、何も変わりません。

勇気を持って古い関係性を捨てて、新しい関係性を築くことが大事になってきます。

 

対話の罠④他の集団から孤立する

この罠は、集団(チームや組織)間の様々なギャップに伴う溝です。

ギャップの例としては、所属メンバーの熱量だったり、集団の習慣や文化などが該当しそうです。

 

こういう場合、相手集団の内部に着目して観察します。

相手集団の内部もよく観察してみると、ナラティヴの溝が生じている場合があります。

例えば、声の大きな人が集団をリードしていて、他の人は声をあげれずに追従しているようなケースが挙げられます。

 

そうした観察から、自分たちのナラティヴを一度脇に置いて、お互いのナラティヴの溝に橋を架けるポイントを探っていくことが大事になってきます。

 

対話の罠⑤結果が出ずに徒労感に支配される

この罠は、ナラティヴの溝に橋を架けようと対話に取り組むものの、なかなか橋が架からず疲れ果ててしまう、というものです。

疲れから解放されたい欲が強くなると、面倒だから相手の言う通りにしよう、と①の罠にはまる恐れもあります。

 

こういう時は、孤立せず、信頼できる同志との連帯が大事になります。

「相棒」と呼べる存在が身の回りに見つけておくのが良さそうです。

 

まとめ

それぞれの罠と対応策を見てきましたが、ざっくり意訳ベースでまとめておきたいと思います。

 

対話の罠①気づくと迎合になっている

  • 何のための対話なのか。自身の誇り、対話の理想を忘れることなかれ。

対話の罠②相手への押しつけになっている

  • 権力を持っている自身を自覚すること。相手の立場を慮って関係性を作ろう。

対話の罠③相手となれ合いになる

  • 古い関係性を捨てる勇気を持て。新しい関係性を作る希望を持とう。

対話の罠④他の集団から孤立する

  • 集団も人の集まり。よく観察し、橋を架けるポイントを探ろう。

対話の罠⑤結果が出ずに徒労感に支配される

  • 辛い時にも頼れる相棒を見つけておこう。