前回に引き続き、今回は第5章の内容に触れていきたいと思います。
前回はこちらからどうぞ。↓↓↓
本書の目次は以下の通りとなっています。
【目次】
第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている
第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス
第3章 実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む
第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む
第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む
第6章 対話を阻む5つの罠
第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの
第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む
この章では、経営陣 vs 現場の間の溝に橋を架ける対話をどうやって実践していくか、が書かれています。
前章と似たような、上司と部下の話も出てきますが、印象に残ったのは、「部下が仕事のナラティヴにおいて主人公になれるように助けるのが上司の役割」という文章です。
「人が育つというのは、その人が携わる仕事において主人公になること」とも表現されています。
主人公という言葉に、当事者意識を持って仕事に前向きに取り組む姿勢が感じられて、とても良い表現だと思いました。
「私とあなた」の関係づくり
経営陣は現場の人間と接する際、「なんとかして現場をうまく動かす方法はないか」と考えがちです。そうしたことは現場に思っている以上によく伝わってしまう。
そして、現場は「道具」として経営陣を見るようになってしまう。
まるで、鏡写しのように。。
その結果、面従腹背やモチベーションの低下、足の引っ張り合いなど、負の文化が形成されていきます。
こうした道具的な関係性を絶対悪とまでは言わないまでも、何かうまくいっていないことがあれば、「私とあなた」の関係性を見直してみるのがよいです。
「私とあなた」の関係性についておさらいしておくと、相手が私であってかもしれない、と思える関係性のこと、です。(第2回の記事で書いていますので、リンクを貼っておきます)
まとめ
権力が生み出す溝に挑むには、まず権力を持つ側から対話に挑むことの重要性を訴えています。
経営陣に自身のナラティヴを一度脇に置いて、権力を自覚した上で、現場との対話の実践を促しています。
「権力を自覚する」とは、現場目線では「権力を持っている経営陣としてのあなた」に対して話をしている、ということを自覚する、ということです。
現場との対話はあなたの立場を慮った発言に過ぎない、つまり、あなたが真に見たいものが見られない、聞きたい声が聞けない、という現実を受け入れる覚悟をする、ということです。