前回に引き続き、今回は第4章の内容に触れていきたいと思います。
前回はこちらからどうぞ。↓↓↓
本書の目次は以下の通りとなっています。
【目次】
第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている
第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス
第3章 実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む
第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む
第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む
第6章 対話を阻む5つの罠
第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの
第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む
この章で印象的なのは、上司と部下という関係におけるナラティヴの溝です。
次の文章を読んだとき、「これって本当にあるあるだなぁ」と思いました。
自分(上司)に見えている問題が部下には見えていないので、その危機感をわからせてやろう、と必要以上に締め付け、厳しいKPIや目標管理の施策を展開するということがよくあります。
このことの問題はナラティヴの溝によって生じる孤立にあると考えられます。そして、その溝が生み出す適応課題に対して、対話的に取り組むことを回避するために、上記のような過剰な管理が生じてしまうわけです。
そうなんですよね。上司の性格(対話が苦手、プライドが高い人など)次第でこういう状態って起こりやすいんじゃないかと思いました。これがエスカレートすると、パワハラ問題にも発展しかねません。
では、この溝に橋を架けるためにできることは何なのか?
本書では、縦(上下)のつながりと横(同じ目線や立場の人)のつながりを作っていくことが有効である、としています。順番に見ていきましょう。
縦(上下)のつながり
これは、上の立場の方が行っている仕事を共有する、ということ。
まずは、上司は部下よりも優れていなければならない、というナラティヴを一度脇に置く。
それから、自分の置かれている状況をどのくらい部下たちはわかっているか、ということを観察する。
そうすることで、打てる手がいろいろ見えてくるのではないか、という発想です。
部下が「自分たちの仕事も大変だが、上司の仕事はこんなにも大変なのか」と、お互いに苦労を抱えている存在なんだ、という点でつながることができれば、関係性も変わってくるかもしれません。
なるほど。これはやってみる価値が大いにありそうな気がしますね。
横(同じ目線や立場の人)のつながり
この横のつながりのポイントは、孤立させない、ということ。
昨今だとリモートワークだったり、SNSを介した交流も盛んになってきました。
ですが、こうしたつながりが闇雲に増えても、だからと言って孤立や課題が解消されるわけではありません。
重要なのは、そうした弱いつながりを機能させるための強いつながりをしっかりと作っていくこと、だそうです。
事例として、同じ階層の人同士でじっくりと時間をかけて、お互いの課題を共有し、アドバイスし合うような取り組みを制度として設けているところもあるようです。
実は、この取り組みは自社でもやり始めているところだったりします。
なので、この文章を読んだときに、「やってる、やってる」(ジミー大西ではないですが)と嬉しくなりました。
まとめ
上司と部下とのナラティヴの溝に橋を架けるためには、上司の側も、部下の側もお互いが孤立しない工夫が重要なんだと思いました。
上司は自分の仕事を部下に共有することで、部下も同じ目線で話し合える仲間と課題や思いを共有することで、それぞれ孤立化を防ぐことができます。